2025.04.18

東レ・デジタルサインの分解



 キッチンの蛇口にメーター付きの浄水器を使っていましたが、シャワーに切り替えると蛇口との取付け部から水漏れするようになってしまったので、浄水器本体を交換しました。近所のディスカウントストアで、同じようにメーターが付いた「MK-207SLX」本体とカートリッジだけがプチプチに包まれたバルク品(箱なし、付属品なし)。¥8,455(結構します)。不要になった古い方の本体を分解して中の様子を見てみました。


今回ばらした浄水器本体

 流した水の総量を表示する「デジタルサイン」が付いたモデルです。浄水器のカートリッジには、浄水できる水量の規定(600L、900L、1500Lの3種類あるらしい)があり、 規定量を越えたらカートリッジを交換して下さいね、とユーザーに促すためです。デジタルサインの付いた浄水器は、我が家では3代目で、初代のものは、0Lから始まり、カートリッジを使うにつれて数字が大きくなっていき、規定値(予め選択しておく)を越えると数字が点滅するようになっていましたが、2代目からは、最初に600Lとか1500Lが表示されていて、使っていくと段々数字が減っていって、最後は0Lになる仕様に変更されています。表示は常時表示されているわけではなくて、浄水を流し始めると1秒くらいで数字が出てきて、止めると1秒くらいで表示も消灯する省電力仕様になっています。



 表示器の裏。中央の黒いICは、NECのLCDリモコン用8ビットマイコンのようです。防水のため基板全体がエポキシ樹脂で固められていました。



 流水量を計数する筒状のセンサー(中央)と電池BOX(右下)。電池はCR2032コイン電池。オシロスコープで当たるため、配線に切れ目を入れています。



 さらにセンサーを分解。水が通る水路から羽根車が出てきました。羽根車には、根元に円筒形の磁石が付いています。下にある、黒い棒状の中に入っているのはリードスイッチ(こんなやつ)。羽根車に付いた磁石の回転で磁力が変化すると、ON/OFFします。



 センサー波形をオシロスコープで観測してみました(波形をクリックすると拡大できます)。


 @ センサー片側の波形。水の代わりに、筒に息を吹きかけて、羽根車を回しています。波形のHiの高さは ほぼ2V。波形がLowからHiの63%に達する時間(RC時定数)は、約0.65ms。



 A センサーのもう片側はGND



 B センサー波形は、回し始めてしばらくすると、Hiの電圧が少し上がって2.5Vになり、立ち上がりのスルーレート(波形の立ち上がり速度)も大きくなります。RC時定数は、約0.23ms(先ほどの2.8倍)。



 C 息を吹き込むのをやめて、羽根車が止まった時の波形例。この時は、リードスイッチがOFFの状態で止まったので、電圧は2Vちょっとになっています。



 D 羽根車が止まった時の、もう一つの例。この時は、リードスイッチがONの状態で止まったので、電圧はLowになっています(リードスイッチに電流が流れ続けている)。このHi、Low状態それぞれの出現頻度ですが、何度か試した感触では、ほぼ半々でしたが、回転している時のデューティを見ると、High:Low=58%:42%程度のようです。



 E 観測する時間軸を長くして(200ms/DIV)、息を吹き込み始めてから、電圧が上がるところまで観測してみました。羽根車が回転し始めてから約1秒で、電圧が2.5Vに上昇しています。表示が出るのも、約1秒経ってからなので、電圧が高くなるのと、表示が出るのが連動しているのかもしれません。



 F 電圧が上がった部分の拡大波形




 浄水器の水量計を分解してみました。羽根車の回転数をリードスイッチで検出しているんだろうな、と想像していましたが、電池寿命を延ばすために、待機時の電圧を(2V程度まで)下げていたのが意外でした。

 昔のデジタルサインは電池を交換すると、それまで覚えていた水量の積算値が消えてしまっていた気がしますが、少なくとも今回新しく購入した「MK-207SLX」は、電池を取りはずしても浄水使用量のデータは消去されない、と説明書に書いてあります。EE-PROM搭載マイコンを使うなどして、これまで流した水量を覚えておく仕様になっているようで、こんなところも進化しているんだな、と思いました。

 東京都の水道水は高度浄水処理を施しており、ごく微量な有害物質やにおいも除去されている(リンク)のだそうで、浄水器を入れて使うのは、高度浄水処理をして下さっている人たちに失礼な気もしますが、我が家ではここ十何年も浄水器を使っています。想定水量を越えると目詰まりして水量が少なくなって来ると思うのですが、元の水道水がきれいなせい(?)か、目詰まりが少ない気がしています。

-追記-
 あとで気が付いたのですが、波形CのリードスイッチがOFFの時の電圧は 約2.0Vだったのですが、あとでテスターで測ったところ、2.78Vでした。 これはどうしたことだ!?と思って、オシロ(プローブ)の入力インピーダンスを調べたところ(10MΩではなく)2.2MΩ。テスターの入力インピーダンスは、10M〜11MΩ(//<100pF)。2.2MΩのプローブをつないだことで電圧が下がってしまったようです。リードスイッチがOFFの時にテスターを電流レンジにして電流を測ったところ、 3.0uA(有効2桁)。VCC=3.0Vとすると、プルアップ抵抗は1MΩ。2.2MΩのプローブで測ると電圧が抵抗分圧されて、2.1V。11MΩのテスターで測ると 2.75V。ほぼ一致します。電圧を下げているのではなく、待機中はプルアップ抵抗を大きくして待機電力を減らし、回転を検出したら、目こぼしなく計数できるようにプルアップ抵抗を小さくして電流を増やしているようです。

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